前日に悪あがきしてみても2kbしか書けなかったんだってテラワロス。

 ビルの角を大仰にバスは曲がる。


「ほーらー、着いたよ。ねぇってば、起きろっ」声。「あー」もぞもぞ。「起きてるって」『ご乗車有難う御座います。まもなくA市。まもなくA市バスターミナルにご到着致します』アナウンスが入る。「ほら、ゴミまとめて」「うぃー、首いてえ……」「お兄ちゃん、髪に跡ついてる。背もたれの」「マジ?」もぞもぞ。「うあー……」「面白。てか早く降りる仕度しろっ」がうん。ぼすぼすぼす。「ほら着いたよっ」
 一歩目を踏み出すと同時に、頬を風が撫でた。
 整理券を渡して受け取ったでかいボストンバッグを肩に担ぐ。先を行く妹の妙に軽やかな足取りを追いかける。不恰好に歩く。冷たい空気と薄ぼんやりとした曇り空、空、閑静な雰囲気。
「うっひゃー」
 妹の高くて舌足らずな声が響く。彼女はとんとんとステップしてそして立ち止まったかと思うと、両手をいっぱいに広げて、息を吸って、冷たい空気と薄ぼんやりとした曇り空、空に、
「なーーーーんにもねぇーーーーーーーっ!!」




 田舎だった。
「ド田舎じゃない」
「そうな」
 ド田舎だった。
 一応の大通りであろうそこには数えるほどの人通りしかない。おばさんとか、じいさんとか、学生とか。ひっそりとした空気に時折混じる車の行き交う音がより一層寂寥感を増している中、いかにも垢抜けない商店がいくつか。駅前にデパートくらいあってもよさそうなものだが、ない。
「ていうか2階以上の建物あるの?」
「あるだろ……」
 360度パノラマ。
「ほら、あそこ」
「ぼろっ」
 ボロいアパートが2、3並んでいた。その中のひとつには側面にひびのような線が走っていた。
「すげー! やべー!」
 妹はテンションが高かった。
「あたし達のもアパートだよね? そうだ、地図! って無い! あれ無い! どこ!?」
 妹はテンションが高かった。
「俺が持ってるっての」
 バッグの小さいポケットから四つ折の紙を取り出し、渡してやる。
「あれー、いつ渡したっけ?」
「行きのターミナルんとき」
「そうだっけ……」
 言いながらかさかさと開かれていく紙にはもちろん二人の目的地である賃貸アパートメントの所在地が記されていて、二人は今日からそこに引っ越すことになっていて、都内某所の築5年の一軒屋には今でも