『少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ』石田衣良

 久しぶりにラノベじゃない小説を読んだので疲れました。といってもこの本もラノベみたいなもんといえばそうなのかもしれませんが。
 カバーの紹介に一応ミステリーとか書いてありますがこのシリーズにトリックによるどんでん返しだとかそういうものを求めている人は多分いないでしょう。じゃあ何を楽しむのかといえば、なんといっても文章。切れまくってます。視点にせよ、比喩にせよ、リズムにせよ。
 もちろんその独特の文体が時には鼻についたりもするわけで、それは好みの問題でもあれば著者の調子の良し悪しや節度の問題でもあると思います。でも「数がほんとうで、残りのものはみんな見せかけ」だと言い何もかもを両手に持った計数機でカチカチと数えまくる少年、というキャラや、『十五メートルの歩道を地雷原のように前進する、十歳の少年の危機的な七分間。』という文章に少しでも興味を引かれた方ならば多分、読んで損はしないと思います。ぜひどうぞ。お薦めです。