『溺れる魚』戸梶圭太

溺れる魚 (新潮文庫)
 強烈なキャラたちによるいくつかのエピソードが悪ノリのしすぎで収集つかなくなりかけつつ入り交じるお話。
 脅迫事件の犯人の要求は別にたいして笑えなかったのですが、登場人物たちの反吐の吐きっぷりはある意味清々しくすら。「発砲→内臓飛び出る→ゲロ」「襖を開ける→血やら脳味噌やらにまみれた死体が出てくる→ゲロ」といった感じで、出てくる人物の約半数にゲロ吐きシーンが用意されています。というかグロシーン多すぎ。ただ、ねちねちとそれを描写しているというわけではないし、勢いのあるアクションシーンの間に挟まれていることもあってあまり悪い印象はなく、むしろ爽快でした。
 前半やや退屈だったのですが、後半の怒濤の展開は良かった。下品な喜劇という感じ。